第108回薬剤師国家試験 問27

麻酔下のラットに低用量のアセチルコリン(5μg/kg)を静脈内投与すると、急速に血圧が下降したが、アトロピン(1mg/kg)を静脈内投与後に高用量のアセチルコリン(500μg/kg)を静脈内投与すると、血圧が上昇した。アトロピン投与後の高用量のアセチルコリンによる血圧上昇に関係するのはどれか。1つ選べ。

1 アセチルコリンM1受容体
2 アセチルコリンM2受容体
3 アセチルコリンM3受容体
4 アセチルコリンNN受容体
5 アセチルコリンNM受容体

 

 

 

 

 

解答 4

少量のアセチルコリン(5μg/kg)を血管に直接入れると、血管の内側にある細胞(血管内皮細胞)のムスカリンM3受容体という部分にアセチルコリンがくっつきます。この結合がGqタンパク質という仕組みを通して一酸化窒素を作る酵素を活性化させ、結果として血圧が下がります。しかし、アトロピン(1mg/kg)を注射してから、多量のアセチルコリン(500μg/kg)を投与すると、アトロピンがムスカリン受容体の働きを邪魔するため、アセチルコリンは主に神経のNN受容体を刺激するようになります。これにより交感神経系が興奮し、血圧が上がるという反応が起こります。